NOTE : １９２８年にアメリカ・ロスアンジェルスで発足した The Gnostic Society（「グノーシス協会」と呼びます）は、１９４０年頃に成立した、Ecclesia Gnostica（エクレシア・グノースティカ，「グノーシス教会」と呼びます）と合併し、グノーシス教会が主導権を持ちます。グノーシス協会は、教会の一般的宣伝と啓蒙を担当し、ほぼ毎週、説教会を開いています。アメリカの主要団体サイトとして、「Yahoo ! アメリカ」で調べると、「The Gnostic Society」と「Ecclesia Gnostica」が、別の URL で出てきますが、どちらに入っても、この団体の公開サイトである「Gnosis Archive」に繋がっています（と云うより、URL が異なるだけで、これらは、複数の URL に跨る一つのサイトと考えた方がよいです）。
　　エクレシア・グノースティカは、きわめて宗教色が強く、祈りの言葉とか、キャテキズムをざっと見た処では、カトリック教会そっくりと云うか、パロディのような感もします。これは多分、教会の設立者で、初代「Bishop（司教）」であった Duc de Palatine が造ったのが、Gnostic Catholic Church で、これはカトリック教会の分派としか考えられません。現在は、教会は、第二代 Bishop であるハンガリー生まれの Stephan A. Hoeller, Ph. D. が指導しており、グノーシス協会の Director も彼が務めています。
　　Ecclesia Gnostica と友好関係にある協力宗教組織として、フランスに起源があり、二世紀ほどの歴史を持つ、Eglise Gnostique Catholique Apostolique があるはずなのですが、「Yahoo ! フランス」で調べても、そういう組織自体は、フランスには残っていないようです。「Ecclesia Gnostica Apostolica」が、アメリカにおける、この組織の支部のようなのですが、フランス本国には本部がないようです。

　　Ecclesia Gnostica は、アメリカ最大、いや世界最大のグノーシス主義関係団体であろうと思われますが、これは、明らかに「宗教組織」です。信徒資格とか入会条件などはありませんから、組織としての「教会」と云うより、伝道の啓蒙機関とでも呼ぶのが正しいかも知れません。
　　アメリカには、グノーシス主義を専門主題としたサイトがかなりあります。多くのサイトは、ニュー・クリスチャニティの一つの形態としての「グノーシス主義キリスト教」サイトですが、反キリスト教グノーシス主義サイトもあります。また、異教趣味や無神論やニューエージ運動や、東洋思想への道としてのグノーシスや、オカルト・超常現象と同列にグノーシス主義がなっているサイトや、そして勿論、錬金術・ヘルメス思想の主題と重なっているサイトがあります。
　　（それと、もう一つ重要なことは、ユング心理学関係のサイトとグノーシス主義関係サイトは、かなり密接に関係し合っていると云うこともあります。先の Ecclesia Gnostica の bishop であるステファン・ホーラーに、ユングの『死者への七つの語らい』を、グノーシス主義的・ユング心理学的観点から解明を試みた著作があり（"The Gnostic Jung, and the Seven Sermons to the Dead"）、また、ユングと『ナグ・ハマディ文書』及び『死海文書』の内容の関連性について論じた著作もあります（"Jung and the Lost Gospels"）。後者には、『男女両性具有』の著作のあるアメリカのユング心理学者 June Singer 女史が序文を寄せています。アメリカのグノーシス主義関係者の或る大きな部分と、ユング心理学関係者のあいだには、かなり密接な関係があるとも云うべきでしょう）。
　　個々のサイトについては、ごく少数のものしか瞥見していませんので、何とも云えません。ただ、アメリカには、「グノーシス主義ウェブ・リング」があります。登録サイトが、現在９６件あります（ただし、どうもいかがわしいと思えるサイトも含めてです）。上の URL は、ウェブ・リングのリスト・ページのアドレスです。