Les Quatre Chemins
『四つの道』

　　　どうも、誰とは申しませんが、経験・思索・知識において未熟であ り無知な者が、自己の未熟さや無知を棚上げにして、勝手な妄想を語っていますので、ここで少し説明をし ておきたく思います。わたくしの「Mysticism of Pink Floyd #2B」と云う文書の終わり近くに次のような 文章があります ：

　　　　◇　神秘主義とは、そもそも頭で考えるものではないのです。神秘主義の道は、第一
　　　　◇　が自殺か死、第二が狂気、そして第三が神秘主義者なのです。第三の道を生きる
　　　　◇　者は、已に第一と第二の道を知っているのです。そこを潜り抜けて、生き延びたも
　　　　◇　のが第三の道に生きる者なのです。

　　　これは確かユダヤ神秘主義のカッバラーだったと思うのですが、この神秘修行の階梯において、神の シェキナー（臨在）の座、または神の王国＝天国に入った、四人のカッバラーの師についての有名な逸話を 元にして述べているものです。わたくしが述べているのは三つの場合ですが、それは『グノーシス階梯』に おいて、原理的に『異端』と云うものは無意味であるので、この道を省略しているからです。

　　　この有名な伝説の逸話によれば、修行の最高階梯でシェキナーの座に昇った四人の師の裡、一人は神 に撃たれ（死に・自殺し）、もう一人は同様に神に撃たれ異端者となり、更にもう一人も神に撃たれ、狂気 に陥り、ただ一人の最後の者だけが、正気でかつ正しい信仰を持って、生きたまま、シェキナーの座＝天国 より、この地上の世界に還って来たと云います。

　　　この逸話あるいは神話は一体何を意味しているのかと云いますと、一つの素朴な解釈では、四人の師 の裡、『真に正しい敬虔な信仰を持ち・神を直視しない智慧を持っていた』師＝修行者だけが、正しい信仰 を保ち、正気で生きたままこの世に還り『神秘の智慧』を伝えることができたのであり、信仰に歪みがあっ て、かつ神を直視してしまった者が死にあるいは自殺し、信仰に歪みがあったが神を直視しない智慧を持っ ていた者は異端者となり、そして信仰は正しかったが、神を直視してしまった者は狂気に陥ったと云う解釈 です。つまり、文字通り、四人の修行者＝師がいた訳で、それぞれの信仰のありようと智慧のありようによ って、シェキナーの座における試練において、その運命が四つの道に分かれたと云う説明があります。

　　　しかし別の説明もあるのです。つまり四人の修行者が別々にいて、それぞれにシェキナーの座に昇っ て、神と対面したのではなく、実は、ただ一人の修行者＝師だけがシェキナーの座で神を前にする試練に出 会い、その修行者＝師の歪んだ信仰を持ち神を直視する傲慢な人格の一部は神に撃たれて死に自殺し、そし て歪んだ信仰であったが神を直視しない謙虚な人格の一部は異端の考えに取り付かれ、そして正しい信仰を 持ってはいたものの、神を直視しない智慧・敬虔さを忘れていた人格の一部は、神に撃たれ狂気に陥り、最 後に正しい信仰を持ち、かつ謙虚にして神を直視しない智慧を持っていた人格の一部だけが、正気を維持し て、死ぬこともなく、シェキナーの座より、この世に還り来たって、『智慧ある正気にして狂気の人』『死 を経験し、しかも生きてある愚者である賢人』として、『智慧の座』に位置したと云う解釈です。

　　　『智慧と正気』は、愚かさと狂気を含み、真に生きてあるとは、実は死を知っていると云うことに他 ならないと、この神話は語っているのだと云います。

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　　　わたくしは、この神話解釈が伝えるように、信仰を持つ異端者であ り、わたくしの一部は死を経験し、わたくしの一部は狂気であり、そしてわたくし自身、わたくしたちの一 部であるわたくしは生きて正気であるのです。

　　　　『死』と云う時、物理的・肉体的な死しか考えることのできない者。
　　　　『狂気』と云う時、それを外部にある何かだとしか考えることのできない者。
　　　　このような者には、この神話の第二の解釈の意味は分からないのです。

　　　精神における死は、精神における狂気であり、わたくしは彼あるいは彼女を殺したが、ここにある狂 気のわたくしは、わたくしが殺した彼女あるいは彼ではないと云う保証がどこにあるのですか。わたくしは 死に殺され、狂気の暗黒の底で、石の棺のなかに横たわっていた。そして目覚めた時、誰が目覚め、誰が生 き延びたのか、誰が知るのですか。

人は死んで行った自分に対する悲しみをいかにして知るのですか。
わたくしは悲しみのなかで横たわっていた。わたくしは死んだのだと。
そして貴女は永遠の扉の向こうの暗黒に去って行かれる？

貴方は云った。そうわたしは、わたしの印を刻んでやった。
では、わたくしは永遠の裏切り者なのですか？
わたしたちは、永遠において『一つ』のものではありませんか。

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RosA MirjaM RosA